妊婦でも夫の海外赴任に帯同できるか?あまり事例がないケースで情報も少ないので、何をどう調べてよいか分からず不安になっているプレ駐妻妊婦さんは多いと思います。まさに私がそうでした。
ご安心ください!私は、2016年に妊娠7カ月で夫のアメリカ赴任に帯同し、無事に第一子をアメリカで出産しました。
ただし「妊娠が順調で母子ともに元気いっぱいである!」ということ以外に、クリアしなければいけない条件がいくつかあります。本日は私の過去の経験から、妊婦で海外赴任へ帯同したときのお話をいたします。
妊婦の状態で夫の海外赴任へ帯同:そのときの状況は?
夫は日系のそこそこ規模なメーカーに勤めています。アメリカ赴任が打診されたのがさかのぼること2015年の10月半ば、入社12年目のことでした。当時私はまだ妊娠していませんでしたが、長年不妊治療をしており流産も経験していたので、とにかく早く妊娠したいという状況。
2016年の3月に夫が出発することが決まったので、それまでに妊娠しなければ不妊治療が続けられません。夫が海外赴任することが分かっていた状況で妊活を続け、幸いにも1月に妊娠。私たち夫婦としては、辛い不妊治療、流産もあったので絶対に出産・育児は一緒に乗り越えたいと思っており、私は妊婦で渡米する気満々でした。
でもその時になって初めて、「あれ、妊娠中に海外赴任帯同ってできるの?」と疑問が…。
ネットで「妊娠中 アメリカ赴任 帯同」と入れて検索しても全然情報が出てこなくて不安になります。
とにかくまずは保険だ!アメリカは医療費が高額だというし、保険がなければ出産できない。ということで重要事項1つ目は「保険」です。
妊婦で海外赴任帯同:医療保険に入れるか
日系企業からの海外赴任の場合、本人や家族の医療保険は会社が手配してくれるケースがほとんどだと思います。夫は渡米の1か月前ごろ、(まだ安定期ではありませんでしたが)私の妊娠を会社側に伝えました。
一番不安だったポイントは、「妊娠が発覚した後に、アメリカの医療保険に加入できるかどうか」。
結論から言うと、アメリカはオバマ大統領時の2014年に開始された「Affordable Care Act」、いわゆるオバマケアにより、妊娠・出産に関わる以下の項目は全て保険でカバーされるようになりました。妊娠発覚後の加入でも適用になります。
- 妊婦検診
- 出産と産後ケア
- 授乳ケア
夫の会社が提供してくれた医療保険も上記は必須項目としてカバーしており、妊娠した後でも加入することができました。
オバマケアが始まる前は、いわゆる「アメリカ国籍狙いの出産旅行」を阻止するため、妊婦の保険加入が厳しい時もあったようです。全ての女性が安心して妊娠・出産できるように考えてくれたオバマさんに感謝です・・。
これで、まず一つ目の保険はクリアです。
会社が保険を手配してくれない場合は、自分で民間の保険会社を探し個人で契約することになります。このオバマケア制度のおかげで妊娠・出産に関わる事項はどの保険でもカバーされているはずですが、必ずダブルチェックしてくださいね。
妊婦で海外赴任帯同:受け入れ先病院が見つかるか
保険がクリアになれば、2つ目の重要事項は「受け入れ先病院」です。実はここは少し苦労しました。
会社からは特に病院の紹介がなかったので自分たちで探します。とりあえず「住む予定のエリア+Obstetrics(産科)」でキーワード検索。”Healthgrades”や地元の口コミサイトでずらっと産科医の一覧が出てくるので、通えそうな場所と書かれているレビューを一つずつ確認し、候補ドクターをピックアップしていきます。アメリカは「病院」というよりはドクター「個人」に対して評価します。

英語が苦手な場合は大変になってしまうと思いますので、どなたかお手伝いしてくれる方に頼ってみてください。
日本からメールでの問い合わせが出来なかったので、夫が渡米後に電話で確認してくれることになりました。(私は、夫の渡米から約2か月後、妊娠6~7か月ごろに渡米する予定でした。)
で、夫渡米後、早速クリニックに電話をするも、立て続けに「今新規患者は受け入れていない」「6か月の妊婦の受け入れはできない、新規は妊娠13週目まで」と断られてしまいます・・!
まさか、断られると思っていなかったのでショックです。一番口コミが良くて狙っていた女性医師もダメでした。候補3番目のクリニックが唯一、「現在通っている日本の産科からの紹介状をまずは見たい、それから決める」と言ってくれました。
慌てて当時のかかりつけ医に紹介状を出してほしいとお願いしましたが、英語で書いたことがないので一週間ほど時間が欲しいと言われてしまいます。
その時点ですでに妊娠6か月目が終わろうとしていました。夫はアメリカでもフロリダ赴任。日本からだと移動だけで24時間以上かかります。長期フライトの負担を考えると、遅くとも妊娠7か月2週目ぐらいまでには渡米したいと考えていました。
また、航空チケットの発券も待ってもらっている状況でした。旅行会社の方には事情を説明し、発券リミットが来ては取り直しをしてもらう。でもいつ満席になりチケットそのものが手配できるかも分かりません。
日本の産院からの紹介状を待っている間も他の候補クリニックを探しますが、電話が繋がらなかったり、いい返事をもらえなかったり、全然ダメです。何度夫をプッシュしたことでしょう。赴任直後で仕事に慣れるのに必死なはずなのに、この病院探しにかなり時間を取られ夫も大変だったと思います。
やっと産院から紹介状を受け取り、メールですぐに送ります。夫がオフィスからクリニックへFAXを流し、返答を待つ。もうここ以外希望がありませんでした。受け入れ病院が見つからなければアメリカへ行くことはできないですし、最悪日本での出産も考えました。
そして3日後・・。「受け入れくれるって!!!」と夫から連絡が入った時はホッとして涙がでました。この時すでに出発予定日の2週間前!ギリギリ!ようやくチケットの発券もできて、あとは出発を待つのみとなりました。
受け入れ病院もクリアです。
妊婦で海外赴任帯同:サポートしてくれる人がいるか
最後の3つ目は、「現地での出産や産後のサポート」です。
やはり海外での出産は心配がつきものです。まして我が家の場合、初めての出産だったので分からないことだらけ。そこで、有難いことに私の母が仕事を休んでサポートしてくれることになりました。
まず渡米時。妊娠7か月の私と一緒にフロリダまで来てくれたのです。重いスーツケースや手荷物も多いので、道中ずっと側でケアしてくれた母には感謝しかありません。無事にフロリダに着き夫と2か月ぶりに合流。荷ほどきやなんやらを手伝ってくれ、母は10日後に一旦日本へ帰国します。
そして4か月後、出産予定日の1週間前に再度来米し、40日間も滞在してサポートしてくれたのです。また後述しますが、出産に関してアメリカの病院は全然優しくなくてとても辛かったのですが、母がおかゆを作って病室に来てくれたり、退院後も赤ちゃんのお世話、私のお世話、夫の食事のお世話までしてくれたので、安心して産後を過ごすことができました。
本当に本当に感謝しかありません。
私のように母親や身内の方のサポートを受けることができないこともあると思います。でも夫婦2人きりで乗り切るのはとても大変なので、特に初めての出産の場合は夫の同僚や日本人ママグループを見つけるなど、困ったときに頼れる方を見つけておく必要があると思います。
現地でのサポートもクリアし、無事に出産に臨めました。
妊婦で海外赴任帯同:その他ポイント
日本の上司には嫌がられる
実は、妻が妊娠した状態で帯同するのを夫の日本の上司はとても嫌がりました。初めての出産、しかも海外。「何かがあっては大変だし、奥さんは産後落ち着いてからアメリカに連れて行きなさい」と言われたのです。
これには、うーん、と困ってしまいました。確かにその通りだからです。
でも、夫のアメリカの上司は、「出産、新生児、子育ては絶対夫婦一緒に乗り切るのがいい。全力でサポートするから早く呼びなさい」と言ってくれました。
結果、日本の上司にはわがままを通す感じで私は渡米しました。渡米後、出産の前にその日本の上司がフロリダオフィスにいらっしゃり、私も一緒に食事をさせてもらったのですが、上司は私の元気な姿や英語が話せるのを知り、最後は安心して見守ると考えてくれた様子でした。母がサポートへ来てくれることを伝えたのも後押ししてくれました。調子に乗った私は、「夫の身の回りのお世話はしっかりするのでどうぞお任せください!」と大得意で言っていました…。
もしかすると同じように海外での初めての出産を心配して、妊婦での帯同を認めてくれないケースもあるかもしれません。語学面やサポート面が十分あることを理解してもらえるといいですね。
飛行機移動時、航空会社のサポート
先ほど述べたよう、夫の赴任先であるフロリダはとても遠かったです。自宅を出て、タクシーで空港→関空→成田→シカゴ→マイアミ。24時間越えの大移動です。
航空会社へは妊婦であることを事前に伝える必要があります。そのおかげで、当日は優先搭乗やCAの方が常に気にかけてくれるなど、安心してフライト時間を過ごすことができました。航空会社によっては妊娠〇カ月以上は搭乗制限があるかもしれないので、必ず事前に問い合わせてくださいね。
以上、妊娠7か月で海外赴任へ帯同する場合の重要ポイントをお伝えしました。この体験談が必要としている方に届き役に立つことを願っています!
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